先週見てきました。その感想を書こうとしたところ、昨日NHKのプロフェッショナル仕事の流儀で「風立ちぬ」ができるまでのことをやっていたのでそれを見てから書いてます。
日本人の飛行機の技術開発の努力も大変なものながら、日本のアニメーターたちの技術の結集のようなこの作品の質の高さ・・CGじゃなく、手描きですからね・・外人にはまねできないかもと思いました。
しかし、前情報を見すぎたかも・・。
おそらく大人向けで内容も明るくはない(画面の色はとても明るいけど)話だけに、前情報を出すことで動員数を高めているのかもしれません。
「プロフェッショナル仕事の流儀」は公開から一か月してからの放送にしたのはかなりネタばれ的な内容になるからだとは思いますが、映画は見てないけど、見る人は多いかなと思いますね。
私は映画公開前の番組でけっこう制作裏のことをやっていて、映画を見てみると、「ちょっとあれ見てからみちゃうとどうかな・・・」というところもありました。
今後、「かぐや姫」がどこまで前情報を出さずに公開までやっていくのか興味があるところです。
「風の谷のナウシカ」の頃はほとんどの人が前情報を見ないで見たのではないかと思いますが、私も漫画のほうも見ずに初日に見に行ったから、ものすごく感動しましたヽ(゜▽、゜)ノ
今はちょっとやりすぎかも。。
内容は明るくないといっても宮崎さんのペーストなので、カプローニさんという人を登場させて、二郎が見ていく夢に希望を持たせているような感じはあります。暗い気持ちにもならないし。
全然関係ないけど、お盆ごろにBSで百恵・友和の映画「風立ちぬ」をやっていて、見たかったので見ました。私が小学生のときに愛読していた「平凡」だか「明星」で当時この百恵・友和コンビがものすごい大人気で、その雑誌に『風立ちぬ撮影』の様子が掲載されていたのを見た記憶があります。
それで、堀辰夫の「風立ちぬ」はこういう感じだったのか・・・を知ってから宮崎さんのをみるとなるほどと思いました。
映画はいろいろな意見があるようです。
しかし、宮崎さんとしては新しい形の(今までになかった)映画になったかな。
戦争を描く映画ではないようだったし。そもそも戦争や震災がありながら、のんきに軽井沢へ避暑にでかけられる裕福な人たちですから。
同じ戦争の時代を描いたアニメ「火垂るの墓」とは大違い。「火垂るの墓」は戦争を描いた作品だから。
宮崎作品の中でかなり欠かせない要素が「自然」だと思います。
若い頃の作品は「未来少年コナン」や「風の谷のナウシカ」「天空の城のラピュタ」など共通して、文明と自然、物質主義と自由に生きることみたいな対比をみせるものが多かったかな。
それを分けることなく、新境地に入ったのが「となりのトトロ」
日本の昔の田舎を舞台に不思議な生き物と子供たち、これといった大きな展開のストーリーはないけれど、宮崎作品の中でもっとも自然・母性の要素の大きな作品となり、母性の要素が大きいということは小さな子供たちがもっとも大好きなものになりました。
これはかなり宮崎さんらしい作品かなと思います。
そして、森と人間と神という日本のもっと古いところを扱った「もののけ姫」で、さらに自然の深いところに触れていきます。
そこからさらに自然というのが現実の世界からアストラルの世界に入り、自分も超自然の世界の一部となる「千と千尋の神隠し」という大作がある意味頂点になっているかもしれません。
「風立ちぬ」での自然はもしかしたら戦闘機や戦争というところと対比になっているのかもしれないけど、最初の子供時代の二郎が寝ている日本の夏の家から夢に導くまでのシーンの描き方がとてもよかったかな。自然が豊かな日本の大正から昭和はじめの時代、生きることは困難だったけど、まだ自然は豊かだった・・・そんなことを伝えているようにも感じました。
けっこう感覚で映画を作っている人なので、感覚で見て、感じるのがよいかも。
高畑さんの作品はまったく違って、あの方のアニメはリアリティの追及なんです。
より現実的、よりリアルに描くことを重ねることで、内面の感情が引き出される不思議な作り方です。
しかし、日本のアニメ技術の最高グレードはこうだーというのを見せつけられる感じですね。
美しかったです。
戦争の頃って戦争を知らない私たちには白黒の世界でしかないので、それをフルカラーにして、美しくみせることができるアニメというのは描く価値があるなと思います。