Around the garden

フラワーエッセンスプラクティショナーによる植物や自然と過ごす日常とエッセイ

【コミック】ルネサンス時代を生きる少女「アルテ」

アルテ 1 (ゼノンコミックス)/大久保圭
¥626
Amazon.co.jp
雑誌「ダヴィンチ」で紹介されてて、すごく読みたかった漫画「アルテ」を出てるだけ購入。
今のところ3巻まで出ている。

ルネサンス時代のフィレンツェが舞台となるこのお話。

新人漫画家が描いたとは思えないクオリティ。


第一話の話の構成や運びがすごい。

主人公の少女アルテは15歳の貴族のお嬢様。

当時の女性は結婚するためにお金が必要で、お金がないと良縁に恵まれない。

アルテの父親はすでに他界し、貴族といえどもお嫁にいくための所持金は
あまり望めない。


しかし、アルテはそんな気はサラサラなく、何よりも絵を描くことが好きで、
職人をめざし、弟子入りできるところを探すが、
女性というだけで、どこも門前払い。

そんな中、出会ったレオという画家に話を聞いてもらえることに。

レオもアルテを弟子に取る気はなかったのだが、彼女に
「どうして画家になりたいのか?」と聞く。

アルテは
「絵を描くのが好きだから・・ですかね」と答える。


もともと物乞いから画家になったレオにとっては
気に食わない答えだった。
彼女に無理難題な条件を与え、それができたら弟子にしてやると言い残す。


しかし、アルテは必至に頑張った。

頑張りながら、彼女は思う。

本当は絵が好きだという気持ちだけで、こんなことをやっているわけではないこと。

彼女を突き動かしているものは女であるというだけで差別されることに対する
「怒り」だったことを知っている。

自分自身の力で生きることを望んでいることを。


その思いを聞いたレオは境遇が全く違うのに自分と重なる。

そして、結果アルテを自分の弟子にする。


ダヴィンチ」での作者のインタビューではレオとアルテの関係は
エースをねらえ!」の宗方コーチとひろみの関係が大好きなので、そのイメージであるらしい。
それも興味をもった要因のひとつ。

ルネサンス時代のこともしっかり背景として検証して描かれてもある。

パトロンの話やこの時代を生きる女性たち、画家の組合などもしっかり描かれてあり、
興味深い。


アルテが画家になりたいという気持ちが「怒り」が原動力になっているところなど
自分が何をしていくのかを考えるときにも好きだけでは出来ないことを物語る。

2巻で、無茶な依頼に対して交渉する場面があり、
そのときにレオはこう言う。

「職人っていうのは良い作品を作ることだけが仕事じゃない・・。もちろんそれも大事だが。
それ以上に物を売って生きていくには必要なことがある。
充分な仕事を手に入れることとその仕事で利益を得られるようにすることだ。」

そうした仕事ということに対する意識の在り方にも触れている。

アルテはレオのパトロンのひとり高級娼婦の女性に交渉術を習う。

彼女からはこう言われる。

「高い対価に見合った満足を与えられるのだという自信を持ちなさい。
そしてそういう仕事をしなさい。」


職人の世界は厳しいけれど、全体をとおしてアルテのガッツと底抜けな明るさが読んでいて
たくましい。


久しぶりに骨のある漫画を読ませてもらった。
今後の展開も楽しみ♪