河瀬直美さんの「あん」ようやく見た。
彼女の作品には自然が切り離せない。
お話はどら焼き屋を営業している男性のもとに
ある老婆がバイトにきて、
飛び切り美味しいあんを作る。
しかし、男性も年老いた女性も
やりきれない過去を持っている
といったお話。
やりきれない過去をどうするか
未来にも行けないときはどうするか
その運命にただ従うだけなのか
苦しい気持ちになる。
河瀬さんの作品はたいてい主人公たちが
やりきれない気持ちを抱えていて、
それをどう処理するというでもなく、
まわりの自然にただゆだねている。
それは見ている私たちにも癒しになる。
ただ、風が吹いて、ざわざわと木々の音がするだけ
ただ、水が流れているだけ
でも、その音はこころの隙間を埋めていく。
空虚な気持ちに入り込み、満たそうとしてくれる。
そうした感覚を与えてくれる。
だから、ある意味河瀬作品は体感的な映画かなと思う。