Around the garden

フラワーエッセンスプラクティショナーによる植物や自然と過ごす日常とエッセイ

【Book】奇跡の泉ルルドへ

奇跡の泉ルルドへ (気球の本)

 

行く前に先立ち、図書館で借りた本。

すごく面白かった。

 

フランス在住の日本人の方がまとめてらっしゃるので

すごくわかりやすい!

最初のほうは引き込まれるように読んだ。

ベルナデットの生い立ちや聖母出現のあたりの話とか。

 

 

ベルナデットが「貴婦人」と呼ぶ聖母をみたときは

必ず恍惚状態にはいり、長い間その場を動かなかったというのは

どういう状態だろう。

おそらく幽体離脱にも近いような状態だったかもしれない。

 

フランスでは無学で純粋な少女が聖母や天使を見て

お告げを受けるという話がよくある。

ひょっとしたら精神的な病気ではないかなど

ジャンヌ・ダルクなどは言われたりもしている。

 

しかし、それのどれをとってもなんらかの現実的な展開があるからこそ

伝説として残っている。

 

ルルドは今となっては、フランスでも年間500万人もやってくる

聖地であり、観光地でもある。

 

この本を読むと、聖母を見たことや泉をかきだしたことなど

ベルナデットにその体験をいろんな人から何度も何度も聞かれたり、

注目の人となったことで実際、聖母の預言の通り、

彼女は今生では幸福な人生を歩むことはできなかった。

 

聖母との体験だけが彼女の人生だった。

 

その頃のフランスのことやルルドの土地の周辺の話などから

もともとそのあたりには他でも聖母出現の話があり、泉がわきでていたりするそう。

水源であり、いわゆるパワースポット的な場所でもあるよう。

 

とはいっても奇跡はベルナデットがそこにいた頃におきたわけでなく、

後から出てきた。

 

奇跡を求める群衆によって。

 

そこへ行くとおそらく、今の医療では治らないかもしれないような病気の人が

たくさんたくさん来ていて、そうした人を見ることになる。

死にかけているような人もたくさんきている。

そんな病気の人たちをみて、ショックを受けるなど書かれてあると

ちょっとビビる・・。

精神的な病の人もやってくる。

 

沐浴の水槽は昔は循環してなかったので、いろんな皮膚病や病気の人が

つかるから悪臭がしていたり、何か浮いていたりしたなど書いてあるのも

ちょっとこわかったり。

 

でも竹下さんはルルドや巡礼について、

すごく幅広い視点を持って書かれているので

一通りのことがだいたいわかるようになっていて、参考になった。

 

現地で介護をする人もボランティアであるが、

研修をえて、正式な資格がもらえるには7年もかかるそう。

まあ、この本が1996年に出版されたものなので

また今は変わっているかもしれないけど。

 

 

水を飲んだから病が治るというよりは

そうじゃないときに治るケースもたくさんあるようなので

やはりその土地とそこにいる人たちのパワーが強いのかも。

 

アマゾンのレビューにもあったけど、私もこの方のあとがきの以下の言葉が好きだ。

 

ルルドにやってきて去る人たちは、病が癒えなくとも、また病を得てすらも、重荷をひとつとってもらったような気分になるのだ。意味や問題を全部自分でかかえこむのをやめて、一部を聖地に、聖母のところにおいてくるからだろう。かかえている荷物が重い人にほど聖母はやさしい。病がイコール不幸である社会に生きていると、病める人はとりあえず病の治癒だけを願って、希望や幸福や「生きること」を先送りにしてしまう。病んでいても人は希望をもてるし、幸福にもなれるし、「生きること」もできる、「他人を生かすこと」すらもできるということを教えてくれる。

 

「奇跡の泉ルルドへ」竹下節子 NTT出版

 

 

ルルドの本は他にもいくつか出ているけど、

この本だけでも十分、その歴史や背景を知ることができる。